大体大先生リレーコラム「本物を学ぼう」RELAY COLUMN

スポーツ科学部

2025.01.17

トレーナーを目指す君に知ってほしいこと

筆者:﨑濱星耶(スポーツ科学部講師)

1.アスレティックトレーナーとは?

 みなさんはアスレティックトレーナーという職業をご存知でしょうか? 日本で「トレーナー」と称される職業には、フィットネスクラブで働くインストラクターや、個人でトレーニング指導を行うパーソナルトレーナーなど、さまざまなものがあります。中でも、主にスポーツ現場で選手のサポートを行なっているのがアスレティックトレーナー(以下、AT)です。それぞれの職業の背景にある資格もさまざまですが、国内におけるATの代表的な資格は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)であり、国民スポーツ大会など一部の大会では、トレーナーとして活動する場合この資格の保有が義務付けられています。資格取得のためには、通常各競技団体や都道府県スポーツ協会の推薦を受ける必要がありますが、本学はAT試験を受験するためのカリキュラムを備えており、認定試験に合格すれば在学中に資格を取得することができます。

2.全ての人に安全なスポーツ環境を

 JSPO-ATのコンピテンシー*には①スポーツ活動中の外傷・障害予防、②コンディショニングやリコンディショニング、③プレーヤーの安全管理と健康管理、④医療従事者に引き継ぐまでの救急対応の4つがあります。つまり、選手の安全を確保し、最高のパフォーマンスを発揮できるような支援をするプロフェッショナルがATです。自分自身が主役になることはありませんが、怪我などによりベストコンディションにない選手の苦しい時間に寄り添い、選手の成功を心の底から一緒に喜ぶことのできる素晴らしい職業です。
 スポーツ現場において、最高の瞬間を迎えるための土台となるのは日々の安全管理です。日常生活よりも強度が高いスポーツ活動の現場では、様々な重傷事故が起きてしまうことも少なくありません。ATはそのような事故が起こらないための安全管理と、起きてしまった時の救急対応に関する技能を高め、安全なスポーツ環境の構築に努めなければなりません。

3.本物を極める

 このようなATの教育に従事する私にとって、「本物を極める」とは安全管理と救急対応について適切な教育を受けた卒業生を多く輩出することです。日本ではATを雇用する学校はまだ多くはありません。しかし資格や職業にとらわれず、こういった技能を備えた教員(社会人)を輩出していくことも本学におけるAT教育の可能性であると感じています。
 本学の副専攻を生かし、実りの多い4年間を過ごしてみませんか?
*コンピテンシー:高い業績や成果につながる行動特性および「能力」「スキル」「知識」

【参考文献】
公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第1巻アスレティックトレーナーの役割(2022)、公益財団法人日本スポーツ協会

大体大先生リレーコラム ラインアップ

キーワード
  • スポーツ傷害
  • スポーツ関連脳振盪
  • 安全・安心の確保

﨑濱星耶(スポーツ科学部講師)

専門はアスレティックトレーニングであり、主にハムストリング肉離れや脳振盪に関する研究に取り組んでいる。 また2022年からはラグビーのユースカテゴリー日本代表のトレーナーを務めている。 担当科目はアスレティックトレーニング実習、アスレティックリハビリテーション基礎など。

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