今、世界では新型コロナウィルスが猛威を振るい、半年前にラグビーワールドカップが日本で行われていただなんて、もう遠い昔の話になりつつあるが、まだ実は半年前。大阪体育大学ラグビー部の練習も3月13日にストップし、サンウルブズ(スーパーラグビー)、トップリーグ、そして日本選手権も最終的には中止となってしまった。恐らく人生で一度あるかないかの未曾有の事態。これこそ、本当にOne Teamで乗り越えて行きたい。
さて、前回のお話からの続き。日本一暑い街・熊谷で行われたラグビーワールドカップ・ジョージア代表とウルグアイ代表の試合、日本一暑い街の称号にふさわしい位の酷暑の中で試合が行われたが、33-7で勝利することが出来た。ジョージア代表にとっては2019ラグビーワールドカップ初勝利となった。2戦目で初勝利を手に入れることが出来てチームもホッとしたような雰囲気だったのを今でも覚えている。
試合直後に大阪へ約5時間掛けて移動したジョージア代表は無事に大阪に到着することが出来た。
リエゾンの仕事は無事に到着したからと言っても終わらない。その晩のうちに10トントラックから荷降ろしを行い、次の朝からチームが良いスタートを切れるように準備をしなければならない。主にホテル内で設営を行うのはコーチ・マネージメントルーム、メディカルルーム、チームルーム、メディアコンファレンスルーム、そしてチームストレージ(倉庫)の5箇所だ。
基本的なセットアップに関してはほとんどのチームが変わらないと思うが、ティア1のチームはより独自のセットアップや備品があったと考えられる。そのようなことが自身のラグビーマネージメントの勉強の側面(特にすぐにでも大阪体育大学ラグビー部でも活かせるようなコストが掛からない取り組み)から考えるとジョージアには特に目新しいものはなかったので、どちらかと言うと自身の経験を活かす方になってしまっていたのは残念な部分だった。もちろん経験を活かす場を与えてくれた組織委員会には心から感謝している。
迅速かつ効率的に設営を行う為、10tトラックに荷物を積み込む際にも設営する順番や必要な順番通りに積込みを行っている。後は出てくる順番に運び手に適切な指示を与えてあげることが重要となる。荷降ろしに関しては熊谷や静岡では地元ラグビー協会の関係者の方々に力を貸して頂き、また全ての宿泊施設でもホテルの皆さんに運搬も含め手伝って頂き、円滑に設営を行うことが出来たので本当に感謝していると同時にこの大会はどのチームに関しても色々な方々のサポートがあって成し得た大会であったことは間違いないと思う。
大阪での初日はリカバリーに当てられた。メディカルチームは大忙し。特にウルグアイ戦→フィジー戦は中3日の強行スケジュールとなっており、選手には相当な負荷が掛かる。ティア2には必ずと言っていいほど背負わされるこの強行スケジュールには大会毎に必ず多くの批判が出る。ティア1に昇格出来るシステムなのであれば、まだ誰も文句は言わないのだろうが、今のところはティア1やティア2に昇格や降格というものは存在していない。イタリアは世界ランキング14位ながらも未だにティア1と呼ばれている。まぁこれはラグビーの実力的な問題ではなく、「如何に集客やテレビの放映権で人気があるか」という部分が大きく絡んでいるだろう。日本代表に関してはこのワールドカップでの活躍があり、ワールドランキングは9位に躍進したものの、現実的にはまだ「ティア2」扱いだ。だが、これから強さを見せることでティア1だと呼ばれる日はそう遠くないのかもしれないし、そう心から願っている。
この中3日のスケジュールの経験に関しては大阪体育大学ラグビー部でのシーズンにも活かされている。勝利した11月4日(日)に行われた立命館大学戦は関西大学ラグビーAリーグ初開催となる三重県・鈴鹿で行われ、その次の試合は近畿大学と5日後(中4日)に大阪・花園ラグビー場で行われた。この中4日での選手への負担を想定し、鈴鹿での試合の前日には普段は行わない前泊を行い当日移動の選手への負担を軽減したのがまず一つ。さらに試合直後には入念なストレッチと氷を準備してしっかりとアイスバスでのリカバリープログラムを行った。これに加えて選手には帰りのバスでの圧着ボディスパッツの着用も促した。通常であれば試合の翌日はオフになることが多いが、この週に関しては試合翌日も稼働して軽い運動(アクティブリカバリー)と大阪体育大学内にあるATルームのワールプール使ってリカバリープログラムを実施して近畿大学との戦いに良い形で備えることが出来た。
結果、36-40の4点差で敗北を喫してしまったのだが、試合後半に追い上げを見せることが出来たのはしっかりと準備を行って最後まで戦うことが出来たからなのではと考えている。
実はお世話になった堺市には宿泊先からすぐ近くに海鮮の美味しいお店がたくさんあり、その一つに下見の時からお世話になっていた。そして、そのお店がチームマネージャーのイラクリとヘッドコーチのミルトン・ヘイグ(現サントリーサンゴリアス・ヘッドコーチ)お気に入りとなり、今回もそちらにお邪魔させて頂いた。もうこれでもかというくらいに注文をして満喫、そして完食をして大・大・大満足だった。
フィジーとの3戦目は残念ながら雨。私にとっても地元・大阪での試合ということもあって何が何でも勝ちたい試合だった。フィジーはジョージアよりワールドランキングは上の強豪で、タックルを受けてもオフロードパスを繋ぎ、華麗なステップ、そしてスピード感溢れるプレースタイルから”フライング・フィジアンズ”と呼ばれるほどだ。
その日は雨という事でそのプレースタイルを封印させるだけの要素になり、パワー勝負が得意なジョージアが有利なのではないか??とも頭によぎったのだが、、、実際はその逆が起こった。後半の20分までは何とか10-17で喰らいつき逆転を狙える位置で喰らいついていたのだが、そこからはフィジーが大爆発。残り20分で28失点を喫するような試合展開になった。特にジョージアが自信を持っているスクラムでも思ったようなパフォーマンスを発揮出来ず、圧倒する場面どころか逆に負ける場面もあった位。さらには雨も関係なく、自由自在にグランドを使い、得意なオフロードパスやステップを使いジョージアDFを翻弄した。
もちろん、中3日が響いた。ということも言えるだろうが、それは後の祭り。
何を言っても「”言い訳” “Excuse”」にしかならない。
さすがにこの日の試合後は皆、意気消沈をしており掛ける言葉もないほど。しかし、このような事も起こり得るのが勝負の世界。マネージメントやリエゾンの立場として辛いのは、チームが勝っても負けても撤収作業が待ち構えており淡々と作業を続けなければならない事だ。逆に言えば負けた時は作業をする事で負けた悔しさを紛らわせているのかもしれない。その作業の中で自分自身が関わった業務の中で何かチームに対して悪い影響を与えた事がなかったかを振り返りながら作業をする事が多い。チームには様々な人が関わっており、その人達がパフォーマンスを発揮出来るように準備するのがマネージメントやリエゾンの役割だ。
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