プロジェクトの成功、円滑な組織の運営などビジネスや社会生活で不可欠な資質として、「非認知能力」が重視されています。
「非認知能力」(non-cognitive skills)とは、点数や指標などで明確に認知できるものではないが、日常生活・社会活動で重要な影響を及ぼす能力を意味し、具体的にはコミュニケーション能力、リーダーシップ、粘り強さなどが挙げられます。大学生の特質として、企業の人事担当者、教育現場の管理職などから強く指摘されているのが、この「非認知能力」の高さです。
大阪体育大学では、学生の7割以上がクラブに加入し、目標達成に向けてひたむきに努力しチームメートと切磋琢磨します。また、マリンスポーツキャンプ、アドベンチャーキャンプ、スノースポーツなど野外活動実習、企業・プロチーム・スポーツ施設でのインターンシップなど学外での学びが豊富で、ゼミ活動も活発です。これらの活動や学びが「非認知能力」の向上に役立っているとされます。
元堺市教育委員会教職員人事部で現堺市立宮山台中学校の山根強校長は「他の教員とのコミュニケーション能力が高く、学校を引っ張っていく存在」と話します。社会で活動する「大体大生像」を聞きました。
「体大卒業生が『チーム学校』をけん引しています」
堺市立宮山台中学校校長 山根強さん
(元堺市教育委員会教職員人事部)
――御校で勤務する大体大卒の先生の数は。
本校の教員は30人ですが、うち、私を含めて4人が卒業生です。30代の女性は保健体育科の教員で、2年生の担任を務め女子バスケットボール部の顧問。30代の男性は特別支援教育のコーディネーターで特別支援学級の担任を務め、男子バスケットボール部の顧問。20代の女性も特別支援学級の担任で陸上部の顧問です。
――大体大卒の教員の印象は。
この3人は皆さん素直で心が強く、ぶれないが柔軟性があり、フットワークが軽い。また、これまで接してきた多くの大体大の卒業生は、コミュニケーション能力が高い印象が強いです。先生という職業ですので、生徒に対してはどの教科の先生もそのスキルを持っていますが、教員同士の横のつながりという意味で、周囲の先生方と学校を引っ張っていくコミュニケーションを取っています。今、「チーム学校」が求められている状況下で、すごく活躍されています。
――「チーム学校」とは。
教員の職務が不登校、いじめ、保護者対応など多岐に広がる中で、教員が一人で問題を抱えずにチームとして対応していくことが必要であり、教育委員会もその方針を打ち出しています。学校の組織力が求められる中で、大体大生はリーダーシップがあり、他の教員とは後輩にも年配の方にも横のつながりをうまくつないでくれているのでありがたいと思っています。
――大学でのクラブ活動の経験は、学校現場で役立ちますか。
クラブで、チームとして活動した経験が粘り強さやコミュニケーション能力につながっていると思います。また、礼儀正しさを強く感じます。子どもは先生の行動を見ています。「あの先生はきちんとしている」と思われることが、尊敬され、信頼される先生につながります。
――保健体育科の教員が学校現場で期待されることは。
とても多いです。担任はほぼ間違いなく任され、各学年の生徒指導を担ってもらいます。年齢を重ねると主任、生徒指導主事も多い。体育の先生はリーダーシップがあるので、学校運営や学校を動かす中心の人物になります。
――学校現場が求める人材とは。
もちろん最も重要なのは授業力で、授業で勝負できる先生でないと子どもから信用されません。一方で、対応力がある人材が必要です。学校現場ではとっさの判断、臨機応変な対応が必要で、柔軟さが求められます。
――中学校の部活動は、週末を中心に地域に移行する方針が打ち出されています。
堺市でも試行錯誤が続いています。ただ、部活動の目的は競技力を上げることではなく、スポーツを通じた子どもたちの協調性や頑張る気持ちの涵養など人格形成だと考えています。学校現場では、部活動指導に消極的な先生もいますが、大体大の卒業生は部活動を通じた人格形成に一生懸命に取り組んでいます。
――教員をめざす学生や高校生へのアドバイスは。
教員は生徒や保護者など人と関わる仕事です。学生のうちから、是非いろいろな人と関わってほしいと思います。自分の専門や得意分野しか知らないのでは視野が狭くなり、社会に出て苦労します。また、学校現場ではICTの導入がこれからも進んでいくので、ICTを活用する能力も大切です。
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