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2024.08.09

女子野球W杯7連覇 MVP白石選手、横井監督インタビュー

 カナダ・サンダーベイで開催された第9回WBSC女子野球ワールドカップファイナルステージでMVP(最優秀選手)と首位打者を獲得し、日本の7連覇に貢献した硬式野球部女子の白石美優選手(体育学部4年、福知山成美高校出身)と日本代表でコーチを務めた横井光治監督(教育学部講師)が母校に戻り、本学で7連覇の感想を語りました。
 白石選手は「初戦でスタメンから外れた時はすごく悔しかった。次戦の練習からしっかりとアピールできるように準備してきたことが結果につながった」とし、「7連覇に貢献できたという実感があり、すごく達成感を感じる」と語りました。横井監督は「現地では打倒日本の雰囲気が強く、相手の気迫で恐怖を感じる場面もあった中での優勝は価値がある」と振り返りました。

 
<白石選手インタビュー>
――7連覇と首位打者・MVPの感想を。
 MVPも首位打者も野球人生で初めて。取れるとは思っていなくて、素直にうれしい気持ちでいっぱいです。7連覇に貢献できたと実感しているので、すごく達成感があります。
――初戦の台湾戦は途中出場。なぜ2戦目以降、活躍できたのか。
 初戦にスタメンでなかったことは正直、すごく悔しかった。自分の中ではしっかりと(スタメン入りに向けて)アピールしてきたと思っていました。監督(中島梨紗監督)からの発表で名前を告げられなかった時は、「自分が足りなかった」と受け止め、次戦の練習からしっかりとアピールできるように心がけて練習してきたことが結果につながったと思います。

――2戦目のカナダ戦で「2番左翼」としてスタメン起用された時の気持ちは。
 2番で名前を呼ばれたときはびっくりしてワンテンポ返事が遅れました。それまでだいたい6,7番で起用されていたので。でも、何番でも準備しておかなければいけないと思い、全力プレーを心がけました。
――決勝では自信を持ってプレーできたか。
 大学での定位置はセンターですが、侍ジャパンではレフト。慣れないポジションなので、(日ごろからあこがれの選手として名前を挙げる)隣のセンターの三浦伊織選手(阪神タイガースWomen)にポジショニングを聞き、しっかりとコミュニケーションを取って守れていたので不安はありませんでした。

あこがれの三浦伊織選手(左)と

――横井監督がチームにいたことはプラスに働いたか。
 頼れる存在で、心強かった。横井監督は試合では三塁コーチだったので、ヒットを打つごとにグラウンドで喜んでくれたのが印象深かったです。
――日本の女子野球は、高校の全国大会の決勝が甲子園、東京ドームで開催され、チーム数が増えるなど注目度が上がっている。侍ジャパンの優勝は、日本の女子野球の発展に向けてどう位置付けられるか。
 7連覇していますが、認知度はまだまだ少ないと感じています。メディアでしっかり出演したり、女子野球の魅力を全国放送などで知っていただけたりしたら、より良い結果につながると思います。日の丸を背負って戦ってきた選手たちが、経験談などをメディアを通して伝えていきたい。

――プロチームで3年間プレーした後、本学に入学した。大学に進んで良かったと思うか。
 高校の同級生の中では働きながら野球をしている人が多いですが、私は大学で部活動として野球をすることで、野球に打ち込める時間をすごく設けてもらっています。トレーニング面でも自分の時間を見つけて鍛えることができるので、プラスになっています。大学進学は、母の薦めで決めました。プレーヤーを終えてからのセカンドキャリアとして指導者、伝える立場に立ちたいと考えています。
――8月20日から和歌山県で全日本インカレが始まる。
 今の調子を維持することはもちろん、最終学年の集大成として、後悔がないように全力でプレーして、優勝したい。

<横井監督インタビュー>
――7連覇の感想を。
 日本は世界ランク1位で強くて当たり前という雰囲気が大会前にはあったが、現地に行くと現場ではまったくそういう雰囲気ではありませんでした。アメリカの技術の高さ、カナダの打撃の強さなどを実感して、「これはまずいな」とスタッフ一同、どうやって7連覇を達成するか毎日話し合いながら、最終的に達成できました。本当に良かったと全員で喜んでいます。

――過去7回で一番難しい優勝か。
 前回に参加している選手も含めて、口をそろえて「世界のレベルが上がっている」と言っていました。加えて、「打倒日本」の雰囲気がすごく強く、相手選手の気迫に恐怖を感じるような場面もありました。「日本を倒せ」とチーム一丸になって向かってくる雰囲気をすごく感じました。
――コーチとしての役回りは。
 全体的には、選手の悩み相談が中心でした。試合ではサードのランナーコーチを務めました。監督の思いを、言葉を変えて選手に伝えていました。
――コーチとして一番気を付けたことは。
 監督の気持ちや、監督がしたい野球を選手に理解してもらうことを自分の役割の中心としていました。

――リーグ戦の最終戦で米国に敗れ、W杯の連勝が39で止まった。
 リーグ戦の米国戦は、2日後の米国との決勝に出場するメンバーと少し変えて挑みました。負けはしましたが、アメリカチームの野球を体感し、決勝につながる試合になりました

――白石選手の好調の要因は。
 本当に本番に強い。白石選手にとって、いっしょに外野を守っている三浦伊織選手はあこがれの選手で、三浦選手とずっと一緒にバッティングの話をしたり守備の話をしたりして、野球のことを彼女から吸収しながら練習していたことが、大きかったのではと思います。

――W杯7連覇は日本の女子野球の発展にどう影響しますか。
 侍ジャパンは、日本のトップ選手を招集して、男子のトップと同じユニホームで世界に挑むという点で影響力が大きいと思います。ジャパンのユニホームにそでを通したいと思う子どもたちは多いのではないでしょうか。コーチとして見ていて、女子のトップ選手たちはとてもかっこいい。あこがれる子どもたちはどんどん増えると思います。
――全日本インカレに向けて。
 大阪体育大学が前回優勝してから3年経過しているので、優勝したいという思いが一番です。白石選手がジャパンに選ばれて賞を取り、彼女へのマークは絶対にきつくなると思います。それ以外の選手がしっかりとフォローできるように残りの期間、頑張って練習してほしい。他大学のレベルも上がっているので、「とりこぼさない」「チャンスでしっかり勝ち切る」を目指して練習していきます。

<白石美優(しらいし・みう)>
 体育学部4年。京都・福知山成美高校出身。プロチームの京都フローラ、愛知ディオーネで計3年プレーし、2021年、大阪体育大学に入学。その年の9月の全日本大学選手権(インカレ)初優勝に貢献した。昨年の女子野球アジアカップから侍ジャパン女子代表に選出されている。大学でのポジションはセンター。
<横井光治(よこい・みつはる)>
 大阪体育大学教育学部講師。2011年、硬式野球部女子の監督に就任し、2021年、全日本大学選手権で初優勝。全国女子硬式野球連盟理事、全国大学女子硬式野球連盟副理事長を務め、侍ジャパン女子代表強化委員。

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