中学などで運動部活動の指導にあたる学生を育成する大阪体育大学の「グッドコーチ養成セミナー2023」(隔週月曜5限)は5月29日(月)、スポーツ関連訴訟に詳しいパークス法律事務所の望月浩一郎弁護士をお迎えし、「すぐれた選手・チームを育てるために指導者には何が求められているか~花を育てる土になる指導者に~」をテーマに講義していただきました。
望月弁護士は日本学生野球協会の審査室委員、日本スポーツ協会の処分審査会委員などを務めています。
講義では、スポーツ界の不祥事を取り上げた新聞記事は、データベースで調べると2018年では2009年の38倍の5996件に急増しているが、不祥事が増えたのではなく顕在化していることが理由だとしました。
体罰や暴力を支持するアスリートや保護者、自治体・学校がいまだに存在するのが実情だとし、実際に剣道、バレーボール、野球の部活動での体罰を撮影した生々しい動画や、剣道の練習中の体罰の末に兄を熱中症で失った弟の手記を紹介。明治までは欧米よりも体罰が少なかった日本で体罰が横行するようになったのは、旧陸軍が兵士に思考を停止させ、命令に服従させるための手法を徹底したことが原因だとしました。
そのうえで、優れた選手・チームを育てるためには、暴力による服従ではなく選手の心に火をつける指導、命令する指導ではなくなぜこの練習をするのかを選手に理解させる指導、経験に頼る指導ではなく指導者自身が研鑽し、より良い指導を探求する姿勢などが必要だと訴えました。最後に、米国の教育者であるウィリアム・ウォードの言葉「平凡な教師は、言って聞かせる」「よい教師は、説明する」「優秀な教師はやってみせる」「偉大な教師は子どもの心に火をつける」を、学校現場での部活動指導を目指す学生に贈りました。
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