大阪体育大学の社会貢献センターは、東日本大震災翌年の2011年から被災地復興支援活動「サンライズキャンプ」を実施しています。学生と教職員が毎年、福島県南相馬市の小学校や老人ホームなどを訪れ、高齢者への体力測定や健康づくりプログラムの指導、子どもたちへのスポーツ指導など、体育大学ならではのスポーツや健康づくり活動を通じて支援を続けています。
昨年は9月に予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大のために中止されました。今年も今後の状況次第で、実施するか否かや支援の内容は決定していませんが、学生17人が感染症対策を徹底して、3月23日から25日まで教職員とともに南相馬市の老人ホームなどを訪問する計画です。
「サンライズキャンプ」は大震災翌年の2011年10月、福島県から大阪に避難した子どもたちと大学構内で1泊のキャンプをしたことがきっかけで始まり、学生が名付けました。12年はがれきや土砂の撤去が主でしたが、13年からは地域のNPO法人と連携し、高齢者への体力測定や仮設住宅でのサロン活動など、その時のニーズに合わせて内容を少しずつ変えながら支援活動を継続してきました。
昨年度(19年9月)は幼児から小学生、中高生、高齢者までの世代が参加する地域ふれあい交流会で移動玉入れやジェスチャーゲームを楽しみ、復興住宅のサロンではリズム体操などを指導するなど多彩な活動を展開しましたが、それぞれのプログラムは募集に応じて参加した学生が、全員で考えて決めました。
学生にとっては、被災地の現状を直接現地で見て学修を深め、現地での活動を積み重ねることで大規模災害時の支援のあり方についてノウハウを積み重ねています。昨年度は福島第一原発事故のため住民が避難し置き去りとなって餓死した牛が、かじって食べた柱の跡が残る南相馬市内の牛舎を見学し、学生は涙を流しながら当時の話を聞きました。
2年前のサンライズキャンプをきっかけに体育教師を目指していた学生が潜水士を志望し、4月から海上保安官として東北地方の海を守る第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)管内に配属されるなど、キャンプに参加した学生が消防士など人を救ける仕事を目指すケースもあります。
引率担当者の池島明子・体育学部教授(レクリエーション)は「福島の被災者の方は『将来、学校の先生や父母になる若い人に原発事故の悲惨さを知ってほしい』と話され、学生が被災地を経験する意義は大きい」と話します。同時に学生が得る学びについて、「ポジティブな思考の大切さなどスポーツを通して得た学びは、体育、スポーツ以外の場面でも生かすことができ、被災者の役に立つことができる。活動を通じて学生には、そこに気づいてほしい」と期待しています。
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