大阪体育大学の2020年度海洋スポーツキャンプ実習の前期が8月20日から3日間、大阪府泉南郡岬町淡輪の府立青少年海洋センターと淡輪ときめきビーチで行われました。
体育学部の3、4年生約80人が6グループに分かれ、3日間の午前と午後でヨット(OP)、ヨット(ディンギー)、カヌー、カッター、ボードセーリング、いかだづくりの6プログラムにローテーションで取り組みました。後期は8月28日~30日に行われる予定です。
海洋スポーツキャンプ実習は今年で30年目。これまでは徳島県のYMCA阿南国際海洋センターで主に4泊5日で実施されました。今年3月で定年退職された福田芳則前副学長が当初から運営に携わって内容の充実に努め、2月には30周年記念シンポジウムも開催されました。
しかし、今年は新型コロナウイルス感染症が拡大。検討を重ねた末に宿泊を断念し、大学から近い淡輪での日帰り実習に変更しました。密を避けるため、前後期に分けて参加人数を減らし、実習開始前から体調・行動チェックを義務付けるなど細心の注意を払うことで30年にわたる歴史を途切れることなく、次年度につなぎました。
実習は初日の20日に岩上安孝学長のあいさつの後、A~Fの6グループに分かれ、ライフジャケットを着用してスタート。教員8人のほか、野外活動部、体育実技研究部の学生約10人がアシスタントを務めました。
全長9メートルもあるカッターでは、海洋センターのスタッフから、櫂(かい)の使い方、漕ぎ方などの説明を受けた後、2人ずつ乗り込み、海へ。力を合わせて櫂を漕ぎました。21日のグループは、淡輪の海岸沿いに約2キロ北上。上陸、休憩後、海洋センターに戻りました。
1人乗りのOP・ヨットはスタッフから操船の説明を受けた後で各自がヨットを海に運んで乗り込み、十数メートル離れた2つのブイを周回しました。初体験のヨットでも舵とセールを操って巧みに操船してターンし、海洋センターのスタッフは「びっくりするぐらい上手。スポーツをやっている人はセンスがいい」。「これが体大生のポテンシャル」と胸を張る学生もいました。
いかだ作りのグループは、4人前後の仲間と協力してタイヤ6個の上に板を置いてロープで結び、いかだを自作しました。海へ運んで乗り込み、数艇で競走。目標のブイに向けて力を合わせて漕ぎ出し、「優勝艇」の学生はオールを突き上げて歓声を挙げました。
1人乗りのカヌーもパドルを巧みに操って海面を滑るように進み、「最初は転覆しないか不安でしたが、後半は波に乗れて楽しかった」などと参加者の笑顔が弾けていました。
また、コロナ対策としてA~C、D~Fの開始時間を30分ずらして昼食や更衣での密を避け、食後は体温をチェックしました。
体育学部では、実習は海洋スポーツキャンプのほか、スキー、キャンプA・B、臨海、ゴルフなどがあり、1単位の選択必修科目です。かつては3単位が必修だったこともあり、伝統的に宿泊を伴う野外実習を重視しています。
海洋スポーツキャンプの主任を務める藤本淳也学長補佐は「教員と学生が生活を共にし、互いにコミュニケーションを高めて得た経験を大学に持ち帰り、教育での指導や部活動などに生かすことが教員、学生の双方にとって重要です」と語っています。
今年はコロナ禍のために宿泊ができず、指導では海洋センターのスタッフのサポートを受けましたが、本来は夜も講習やキャンプファイアーなどスケジュールはぎっしりで、実習も教員が指導します。
学生は、教壇の上とは違う教員の素顔を知り、教員は講義やゼミでは分からない学生の一面に気づき、ともに絆を深める。本学の特長として、よく「学生と教員の距離が近い」「面倒見が良い」ことが挙げられますが、実習はその要因の一つになっているようです。
参加した学生からは「自然と触れ合うことのできる大学でいいなあ、と思いました」「先生がしゃべりかけてくれる」「学科もクラブも違う初めて接する人たちと、初めてのことばかり体験して、とても新鮮」などの感想が寄せられました。
一方で「日帰りではなく、泊まり込んでより内容の濃い実習を経験したい」との声もありました。コロナ禍が1日も早く収束して、本学本来の実習ができる日が来ることを祈ります。
【OP・ヨット】
【いかだ作り】
手製のいかだで海へ。
【カッター】
【カヌー】
【ディンギー・ヨット】
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