東京パラリンピックの代表選手にとって、新型コロナウイルスの感染拡大による1年延期は、五輪とは異なった深刻な影響を及ぼしています。アダプテッド・スポーツ専攻で、日本ボッチャ協会強化スタッフを務める本学教育学部の曽根裕二准教授に聞きました。
Q 1年間の延期や感染の拡大はパラリンピック選手にどのような影響を及ぼすのか
延期自体は来年の日程も確定し、選手の不安は軽減された。選手は延期そのものより、五輪の代表選手以上に練習に専念できる環境の確保に困っている。
知的障害のある選手は、練習会場が確保できたとしても、当初の予定や場所など環境が変わることに不安を覚えたり不安定になったりする選手もいる。車いすの選手は、競技用車いすへの乗り換えや日常生活に介助が必要な場合もあるので、他人と近い距離で接するという点での感染リスクには気をつけないといけない。
Q ボッチャはパラリンピック種目の中ではもっとも重い障害がある選手も参加できる競技だ。感染防止のために気をつけていることは
日本ボッチャ協会として4月の強化合宿は中止した。会場のナショナルトレーニングセンターは利用可能だったが、公共交通機関を使った移動は感染のリスクが高いと判断した。選手は地元での個別練習が主となるが、選手スタッフ間でのコミュニケーションは連携を取りながら行い、一人ひとりが抱える不安なども共有している。
Q パラリンピックに限らず、障害者スポーツ全体への影響は
障害のある人がスポーツをできる環境は少ないことが以前から指摘されている。大阪府内にある障害者優先のスポーツ施設も臨時閉館し、今は活動する場があまりない状況だ。
しかし、障害のある人たちはこれまでも様々な制限の中でできることを探し、スポーツを楽しんできた。今の厳しい状況も悲観的にとらえるだけでなく、厳しい中にもできることを探す、安全にできるように工夫するという視点を持って取り組んでいると思う。
曽根 裕二(そね・ゆうじ) 教育学部教育学科准教授。専攻はアダプテッド・スポーツ、特別支援教育(主に肢体不自由)における保健体育。日本ボッチャ協会強化スタッフ
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