大学生が中学・高校などの運動部活動に「部活動指導員」「外部指導者」「学生ボランティア」などとして関わることの意義や課題などを探る「運動部活動改革プラン」公開シンポジウムが24日、本学L201大教室で開催されました。
中学で部活の指導に取り組む本学学生・大学院生計4人によるパネルディスカッション、教育委員会関係者らによる部活動の現状報告などがあり、参加した学生、教育関係者ら約350人が熱心に聴き入りました。
運動部活動は現在、少子化に伴う部の廃止で生徒のスポーツ活動の機会の確保が難しくなったり、女子や障害のある生徒も含めた多様な活動のニーズに応えられないなどの問題を抱えています。
このため、スポーツ庁は2019年度、本学ほか10団体に「運動部活動改革プラン」の事業名で、部活動改革策の検討や効果の検証を委託しています。
本学では昨年7月から教職員による合同プロジェクトチームを結成。教員を目指す学生に部活の指導法などを教え、「部活動指導員」や「外部指導者」などとして学校現場に教育委員会などを通じて派遣するシステム作りに、全国の大学に先駆けて取り組んでいます。
シンポジウムは、プロジェクトチーム研究責任者の藤本淳也体育学部教授・学長補佐が「改革プランづくりを体育系大学のリーディング事業として進めていきたい」とあいさつして開会。続いて、「部活動指導員」について、長時間労働が深刻な教員の働き方改革を支える施策として2017年、学校教育法施行規則で新設されたこと▽身分は学校教育法で定める学校職員で、初めて生徒の引率も可能になり、従来からある「外部指導者」より責任が重いこと▽本学学生への調査で学生132人が「中高での部活指導ができる」と回答していること――などの紹介がありました。
学生によるシンポジウムには、大学院2年の酒井優和子さん(大阪市立中でハンドボール指導)、体育学部3年の島原大輝さん(神戸市立中でバスケットボール指導)=部活動指導員▽体育学部3年の穂刈真由子さん(熊取町立中で剣道指導)=外部指導者▽体育学部4年の古口心さん(岸和田市立中でバスケットボール指導)=学生ボランティア=が参加しました。
小林博隆体育学部准教授の進行で、4人は「教員を目指していて学校現場で貴重な経験ができる」「練習で一歩成長した生徒の喜ぶ顔を見るとやりがいを強く感じる」「勝利や結果重視ではなく、生徒の個々の目標や競技力を踏まえて顧問の方針に沿って指導をすることが大切」「外部指導員は学校の非常勤教員なので、部活だけでなく生徒の学校生活も知るべきだ」「時間に余裕がなく、自分の部活動と指導の両立が課題」などの意見が出ました。
続いて現状報告では、大阪府教育庁教育振興室保健体育課競技スポーツグループの杉本嘉文さん、熊取町教育委員会理事の林栄津子さん、大阪市教委指導部教育活動支援担当学校保健体育グループ首席指導主事の西田知浩さんが発表されました。
報告では、人材確保は退職教員などを想定しているが、報酬が低いなどの面から不十分▽部活動指導員は、大阪府立高校138校で19年度は前年度の2・7倍の27校に配属▽大阪市立中高81校では文化部を含めて166人が在籍▽学生の部活動指導員は大阪府立高校では引率の問題などから認めていないが、大阪市立中高では多数が所属し次年度から最低年齢を20歳から18歳に引き下げる▽熊取町では本学とのDASHプロジェクト協働協定(2018年3月2日)に基づき、2月から「中学校部活動スポーツ指導者派遣事業」を実施する――などが説明されました。
最後に一般社団法人アスリートネットワーク副理事長でアーティスティックスイミング五輪銀メダリストの巽樹理さんが「一大学で社会的課題の部活動改革に取り組むことを高く評価したい」としたうえで「行政は学生に全責任を負わすのではなく副顧問的な位置づけにし、できることをできる範囲でする体制にしてほしい」「総合型地域スポーツクラブとの連携も視野に入れては」などと提言されました。
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