大体大先生リレーコラム「本物を学ぼう」 第3回「コツやカンを知り、成長に繋げる」

筆者:下川真良(スポーツ科学部講師)

1.コーチングとは
コーチの語源は馬車であると言われています。これは目的地に「大切な人を望むところまで送り届ける」ということです。そこからコーチングは、「人の目標達成を支援する」という意味で使われるようになりました。コーチングは単なる指導ではなく、個々の目標達成をサポートし、成長を促すものです。

2.聴いて徳を得よ
話を聞くと書きますが、聞いているだけではもったいない。私は「聴く」を多く使います。内容を理解し、同じ方向を進むためにもしっかり聴いて、徳を得てほしい。先生や指導者の言うことは全てが正解ではありません。だからこそ、話していることをしっかり聴いて理解をし、コミュニケーションをとってもらいたい。聴くことで新しい発見や学びが生まれ、それが自分の成長につながります。

3.競技力向上のために
競技力を向上させるためにはどの様なことが必要か?
私の専門はハンドボールでした。プレーする中で、上手い選手のマネをすることは上達への第一歩と現役時代から考えていました。そこで、トップのナショナル選手やプロ選手はどのようにシュートを考えて打っているのか、「どのように動けばいいか」や「どうすればシュートが入るか」といった、主観的情報の「動きのコツ」や「イメージ」、「意識していること」などについてインタビューを行い、読み解き、整理をすることで、シュートの指導方法や基礎資料が得ることができました。

この研究の重要であった部分は、先ずは自分の運動経過や考えていることをまとめたこと。そして、他のトップ選手に話を聴き、共通点や違いを知れたことは指導する立場になり大きく役立りました。「自分を分析し、他者に習う」。これは競技力向上に大切なピースであると考えます。他種目から学べることも沢山あると思います。
競技力向上を目指し、コーチングも学んでみませんか?

図1.サイドシュートの運動経過は筆者が事後的内省により、自分の考えをまとめたもの。

【参考文献】
下川真良, 杉森弘幸, & 森瑛介(2009). コーチング部門 ハンドボールにおけるサイドシュートの研究. ハンドボール研究 (11), 104-110.
下川真良, 杉森弘幸, & 森裕太(2011). コーチング部門 ハンドボールにおけるサイドシュートの事例的研究–知の獲得について. ハンドボール研究, (13), 131-135.
橋本行弘, 下川真良, & 會田宏(2013). 日本ハンドボール学会第1回大会シンポジウム サイドシュートを決めるコツ・阻止するコツ. ハンドボールリサーチJJHR, 2, 70-78.
下川真良 (2014). サイドのスペシャリストがこだわるシュート指導~下川真良にみる得点力アップトレーニング~ [DVD]. ジャパンライム.

キーワード|コーチング  競技力向上  コツ  カン

下川真良講師
下川真良(スポーツ科学部講師)
専門はコーチング。担当科目は「ハンドボールⅠ・Ⅱ」「コーチング法」「スポーツ技術戦術論」など。男子ハンドボール部監督。大阪体育大学出身、在学時は2度の全日本インカレ優勝を経験、大学卒業後は湧永製薬株式会社に入社し、同社ハンドボール部に加入。同チームでは全日本実業団ハンドボール選手権大会で4度、全日本総合ハンドボール選手権大会で2度、国体で3度の優勝を達成。個人でも実業団選手権新人王、最優秀選手賞、日本ハンドボールリーグ新人王のほか、実業団選手権とリーグのベスト7を4度ずつ受賞している。日本代表として世界男子ハンドボール選手権大会やアジア競技大会、アテネ・北京オリンピック予選にも出場。大阪体育大学男子ハンドボール部監督就任3年目で全日本インカレ優勝。

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