- 菅生 貴之 先生
- 大阪体育大学 スポーツ科学部
認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士
- ユイさんは試合で緊張するようだけど、僕の授業やセミナーで「試合で失敗したときにおちいってしまうのはどっち?」と聞いてみると、大体毎回こんな結果が出るんだ。
- 緊張しすぎ派が多いけど「緊張しなさすぎ」も4割いるんですね!意外に多くて驚きです。
- 緊張しないってうらやましいなぁ。普段の状態でリラックスして臨めるほうが結果が出そうだし…
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緊張しすぎもダメだけど、リラックスしすぎもよくないんだ。
一番いいのは適当な緊張感を持つ状態で「ゾーン」と言って、「ノッている」状態なんだけどそこにどうやって近づくかだね。
緊張・興奮とパフォーマンスの関連
自分の能力を十分に発揮できる心の状態を思い出し、「ゾーン」に近づけるように「対処」する方法を考えていく
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さがりに対するサイキングアップ法(一例)
- 1.サイキングアップ
- リラックスの反対の意味で、興奮・緊張を高めること。
サイキングアップ用の音楽を聴く、大きな声を出したりする、体の各部を叩くなどの方法がある。
- 2. 勢い呼吸
- 試合の直前にふーっと一息、大きく息を吹き出して、試合に集中する。
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あがりに対するリラックス法(一例)
- 1.腹式呼吸
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吸う:
鼻から大きくゆーっくりと息を吸い込む。下っ腹が膨れてくるように息を吸い込んでいく。
吐く:
吐く時間が吸う時間の2倍程度になるよう、口からゆっくりと息を吐き出していく。
細く長ーく息を吐くつもりで、吐く時にはお腹がへこみ身体が弛緩する。呼吸にともなって自然に生じる身体の緊張と弛緩に注意を向ける。
- 加えて、安定して「ゾーン」の状態に自分を持っていくためにプレパフォーマンス・ルーティン」を取り入れていくと効果的だよ。
- プレパフォーマンス・ルーティン?ですか?
プレパフォーマンス・ルーティンとは?
ルーティンは「決まった手順」という意味。
特に大事な試合や場面に臨む時、その「決まった手順」を行うことで精神的な落ち着きや自信を呼び覚ますことが出来ます
- 自信を持って本番に臨める
- 自己コントロールができる
- 過度の緊張を抑え、集中力を高める
- ちょっと前に話題になったラグビーの五郎丸選手のポーズなどがそうですか?
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そうだね、あとはイチロー選手のルーティンも有名だね。
メンタルコントロールが重要な一流アスリートはこういうルーティンを持っていることが多いよ。
- じゃあ私も落ち着くために五郎丸ポーズを…
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いやいや「プレパフォーマンス・ルーティン」は自分の成功経験から探し出したものを毎回決まって行うことで、心と動作がリンクして実際のパフォーマンスに良い効果を発揮するものなんだ。
ユイさんにはユイさんなりのものが必要だよ。ちょっと探してみようか。
ちょこっとTRY
「プレパフォーマンス・ルーティン」をつくろう
(1)成功したときの体験を振り返る
最高の成績を収めた試合や場面を一つ選ぶ。
できるだけ最近の具体的な試合がよい。
あくまでも自分自身にとっての「ゾーン」体験を思い出し、競技場面や状況、それを短い文章で台紙の中央に記入する。
普段の練習でも必ず行うようにして、心と動作をリンクさせていく。
(4)実践した結果をフィードバックうまくいったもの、そうでないものを再度取捨選択して磨きをかけていく。
★ルーティンはなるべくシンプルにすること。
複雑なものにすると、忘れたりできなかった場合にパニックになる危険性もある。
- 一流アスリートの多くはこんな感じで自分の「ルーティン」を作っているんだ。これだ!となるまで2年ほどかかることもあるし、常に自分に合った形に変えていくことも大事だよ。
- ダメな時のことを反省することが多いですが、良かった時を振り返ることで得られるものは多いんですね。
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そうだね。そしてうまくいった試合にもピンチはあったはず。そこを切り抜けたときどうだったかも思い出すと役に立つよ。
感覚だけでやっていると不調の時に自分を見つめ直すのが難しくなる。科学的なコントロール方法を身に付けるのは大事だね。
- ありがとうございます。早速セルフコントロールとルーティンづくり、やってみます!