スタミナの正体とは?

大体先生が問う「スタミナの正体」とは??

専門の先生に聞いてみよう

友金 明香 先生
大阪体育大学 スポーツ科学部
陸上競技部 中距離コーチ
健康運動指導士

長時間のスポーツや活動に 欠かせない「スタミナ」。 科学的にはどういう状態なのか 一緒に考えてみましょう。

友金明香先生

スタミナの正体とは? スタミナの正体とは?

大体大先生
ミサキはそもそもスタミナって何だかわかるかい?
Misaki
言われてみれば…スタミナって成分でも食べ物でもないですよね。
なんだろう…体力??
Ms.Tomokane
「スタミナ」って身近な言葉ですけど、意外と深く考えたことないですよね。スタミナは” 疲れにくさ”を表す言葉。
「心肺持久力」をさしています。

スタミナの指標「心肺持久力」って何?

【ポイント1】スタミナとは…「心肺持久力」。
「心肺持久力」が高い=心臓と肺を中心とする全身の循環系能力が高いということ。
その指標は「最大酸素摂取量」で表わすことができます。
【ポイント2】「最大酸素摂取量」とは…?
酸素を体内に取り込む能力を測るもので、
体重1kgあたり、1分あたりに摂取できる酸素の量です。
  • 心臓が一度収縮することで、どれだけ多くの血液を全身に送ることができるかという酸素運搬能力
  • すみずみまで酸素を送れる毛細血管の発達の程度
  • 骨格筋における酸素を利用する能力

これらを総合的に判断します。

こういった能力が高いと「スタミナ」があるということになります。

Ms.Tomokane
ところでこのスタミナ、激しい運動をしたら増える…と思われがちですがそうではないんです。
Misaki
えっ!?くたくたになるまでハードな運動したら自分の限界がアップして増えるのかなと思ってました!
Ms.Tomokane
実際には最大酸素摂取量の50%の強度の運動を一日合計30分程度、一か月続けることでスタミナがアップします。
大体大先生
「最大酸素摂取量の50%の強度の運動」って、ぱっとイメージしにくいですね…どのぐらい運動したらいいのか…
Ms.Tomokane
大先生、そうなんですよね。実は最大酸素摂取量は、多くの専門的な機器での測定が必要なんです。でも心拍数からも簡単にその運動強度を出すことができますよ。
なぜなら酸素摂取量と心拍数との関係にはほぼ直線的な関係があるからです。「もう無理!!」というくらい激しい運動をしているときの心拍数はどのぐらいか知っていますか?もちろん直接運動負荷試験を行って測定をするのが一番なんですが、220から自分の年齢を引くことで求めることができるんです。

「最大酸素摂取量50%の強度の運動」を心拍数から割り出すには?

「最大酸素摂取量50%の強度の運動」=最高心拍数の55~60%程度になる運動です。

50%強度の運動になる心拍数を出すには…

(220 – [自分の年齢] - [安静時心拍数(/分)] )×0.5( 50% ) + [安静時心拍数(/分)]

例えば18歳で安静時心拍数が60拍/分の場合、(220-18-60)×0.5+60=131拍/分になります。

Ms.Tomokane
やってみるとわかりますが、50%強度って「キツイ」と思わないレベルです。おしゃべりしながら笑いながらできるものです。
Misaki
毎日は意外と大変そう…?
Ms.Tomokane
ミサキさんだと1分あたり131拍程度の運動なので…
部活の後にクールダウンを兼ねた軽い運動を
15分~30分ほどするだけで変わるんじゃないかと思います。
Misaki
そんな簡単なものでいいんですか?
Ms.Tomokane
十分ですよ、私も駅から大学まで軽く走るとか、駅の階段を小走りで上がるとか軽い感じで続けています。1日合計30分です。10分を3回でも、1分を30回でも構いません。続けることが大事ですよ。
大体大先生
運動しているうちに毛細血管が増えたり、酸素をより多く取り込めるようになって、じわじわ運動強度が上がって持久力もつくんですね。
Ms.Tomokane
そうですね、それにハードと感じる運動では糖質をエネルギーとして使いますが、50%強度は脂肪をしっかりエネルギーに変える有酸素性運動です。この強度の運動を続けることで脂肪が中心に燃焼できる能力が高まってきます。
糖質は集中力や瞬発力に必要なエネルギーなので、それを温存できて必要な時に使うことができるのはスポーツでは強みになりますよ。
Misaki
後半に集中力がなくてボールに反応できなくなってたんだけど、それも原因だったんですね…。早速スタミナつけられるよう明日からがんばってみます!

ちょこっとTRY

  • (1)脈拍をはかるには

    イメージ画像

    手の親指の付け根に、反対の手の親指以外の指3本を添えると脈がわかります。15秒測って4倍すれば1分間の心拍数が出ます。

  • (2)50%程度の運動

    イメージ画像

    家の中であれば踏み台昇降が簡単です。20cm程度の段差、なければ階段などで4分程度運動して直後に脈を測り、 50%強度の運動になっているか調整します。

そして後日・・・